SOAPカルテは、動物病院の診療記録でよく使われる「型」です。情報を4つに分けて書くだけで、記録の抜け漏れが減り、あとから経過を追いやすくなります。この記事では、S・O・A・Pそれぞれの意味と書き方、犬猫の記入例、そして書く時間を短くするコツまでを、現場の目線でまとめました。
SOAPカルテとは
SOAPとは、Subjective(主観的情報)・Objective(客観的情報)・Assessment(評価)・Plan(計画)の頭文字をとった記録方法です。もともと人の医療で広まった書き方で、いまは動物病院でも標準的に使われています。
SOAPで書くと、次のようなメリットがあります。
- 診察で聞くこと・診ることが整理され、確認の抜け漏れが減る
- 他のスタッフや紹介先の獣医師にも状況が伝わりやすい
- 次回の診察で、前回からの経過を追いやすい
S:主観的情報(飼い主の訴え)の書き方
Sには、飼い主から聞いた内容や、家での様子を書きます。主訴、いつからか、どんな変化があったか、が中心です。検査の数値ではなく「言葉で語られた情報」だと考えると分かりやすいです。
- 「2日前から食欲がない」
- 「昨日から軟便が続いている。嘔吐は1回」
- 「散歩を嫌がるようになった」
O:客観的情報(所見・検査結果)の書き方
Oには、獣医師が実際に確認した事実を書きます。体重・体温・心拍数などのバイタル、視診・触診・聴診の所見、血液検査やレントゲンの結果などです。数値や単位は正確に残します。
- 体重3.4kg、体温38.9℃、心拍120/分
- 腹部触診で軽度の痛み。脱水は軽度
- 便検査で寄生虫は認めず
A:評価(アセスメント)の書き方
Aには、SとOをふまえて考えられる病態や診断を書きます。確定した診断だけでなく、「疑い」「鑑別に挙げるもの」「除外したもの」を書き分けると、あとで見返したときに考えの流れが分かります。
例:急性胃腸炎の疑い。食事性の可能性が高い。脱水は軽度。膵炎は現時点で可能性低いが、改善なければ再評価。
P:計画(プラン)の書き方
Pには、これからの治療・処方・検査・次回予定・飼い主への指導を書きます。処方は用法用量まで残すと、次回の判断がしやすくなります。「次回やること」も一緒に書いておくと、来院時に迷いません。
- 制吐剤・整腸剤を処方(用量を記載)
- 1〜2日は消化に良い食事、少量頻回で
- 改善がなければ血液検査・エコーを検討
- 次回:3日後をめやすに経過確認
SOAPカルテの記入例(犬・急性胃腸炎)
S:2日前から食欲低下、昨日から軟便。嘔吐1回。元気はややあり。
O:体重3.4kg、体温38.9℃、心拍120/分。腹部触診で軽度の不快感。脱水軽度。便検査で寄生虫(−)。
A:急性胃腸炎の疑い。食事性が最も考えやすい。脱水は軽度。
P:制吐剤・整腸剤を処方。消化に良い食事を少量頻回で。改善なければ血液検査・エコーを検討。3日後をめやすに再確認。
SOAPを書く時間を短くするには
SOAPは便利な一方で、診察の合間や診療後に文章化するのが負担になりがちです。時間を短くする工夫としては、次のようなものがあります。
- よく使う型(テンプレート)を用意しておく
- 院内で略語や書き方のルールをそろえる
- あとでまとめて書かず、その場で要点だけ残す
最近は、診察の会話を録音して、AIがSOAPカルテの下書きを作る方法も出てきました。獣医は一から文章を書くのではなく、下書きを確認して直すだけになるため、記録にかかる時間を減らせます。
SOAPilot は、診察の会話を録音するだけでAIがSOAPカルテと次回タスクを下書きする、動物病院向けの診療補助ツールです。今の電子カルテを変えずに併用でき、14日間の無料トライアルで下書きの精度を試せます。詳しくは SOAPilotのトップページ をご覧ください。
まとめ
SOAPカルテは、情報をS・O・A・Pの4つに分けて書くだけのシンプルな型です。抜け漏れを減らし、経過や引き継ぎをスムーズにします。まずはテンプレートを用意し、書く時間を減らす工夫から始めてみてください。あわせて「動物病院の電子カルテの選び方」も参考になります。